2014年7月23日 (水)

直球と変化球

「死霊館」と「キャビン」を鑑賞

どちらも昨年のホラー映画なのですがレンタルBlu-rayとwowowにて鑑賞。どちらもとっても楽しい映画でした。


「キャビン」は「13日の金曜日」以来始まったティーンエイジホラー王道を行くストーリーを一方で据えつつ、もう一方ではホラー映画ファンを茶化す話が並走するメタなホラー。2つのストーリーを上手く絡めつつも最後はファンを歓喜させるスペクタクルを用意しているご馳走たっぶりのホラーです。

多くはネタバレになるので書きませんが、いろいろネタが出尽くしたといわれるホラー映画でも、まだまだ捻った楽しみ方があるのだと感心感心。劇中にJホラーをパロディにするシーンがあるのですが、それのクオリティも高く、「わかってるね」感が伝わって来てうれしい。

「死霊館」は悪魔に取りつかれた家に引っ越してくる家族の話。70年代の「悪魔の棲む家」等のオカルト映画の系譜を継ぐ映画。監督は「ソウ」のジェームズ・ワンなのですが、「ソウ」のエッジの効いた演出とはうって変わってこちらは直球でオーソドックスな恐怖演出。非常に清々しい。先の「悪魔の棲む家」と同じ年代の雰囲気をも醸し出す、クラッシック調な映画で「エクソシスト」や「オーメン」が流行った頃を思い出します。

で、それがつまらないかと思えばそうではない。非常に怖いし、終始集中して見っぱなし。グロいシーンも無いのでお子さん(?)や女性にも勧められる今時珍しいホラーです。


「キャビン」では定番ホラーを捻った構成で楽しませる変化球ですが、「死霊館」は一周回って正統派に戻ってきたという感じで、いろいろホラーの変遷を楽しめる2本でした。


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2014年4月29日 (火)

平成版 愛と誠

「愛と誠」 ☆☆☆☆☆



昭和版「愛と誠」ブームの真っ只中で幼少を過ごしコミックはもちろん、映画、TVドラマと嵌りまくった世代。しかし平成リメイク版はいつかどこかのwebで目にしてたかも知れないけども、全くの興味対象外でした。今回webの番組表でたまたま目についたので、暇つぶしと思ってwowowで撮り貯めていた「愛と誠」。何の事前情報も無く観てみることにする。



まずOPのアニメ。



「愛と誠」と言えば、何は無くともこのスキー場での印象的な出会いのシーン。誠が額に傷を負ってこの後の人生に影を落とすのも、愛が誠に償いの誓いをするのも、全てはここから始まるからだ。このシーンをどう映像で描くかで監督の裁量がわかると言うもの。正直ここがしょぼければ視聴をさっさと止めてHDDから消去しようと思っていた。



アニメ?!



想像の斜め上を行っていた。俺が見始めたのはアニメ版「愛と誠」だったのか?普通ならここで止めてしまうところだけども、アニメのクオリティが中々悪くはないのでこのまま観進めてみようと思う。タイトル後に始まったのは実写のドラマ。どうやら間違えてアニメ版を録画した訳では無いと知り、少しホッとする。



とりあえずは最初の難関突破と言うところか。



ところが、この先の展開はそれどころでは無かった。誠が歌い、愛が踊る!なんとミュージカルだった。慌ててiPadで作品情報を検索する。



なるほど、納得。監督は三池崇史ですか。どうせVシネに毛が生えたもんだろうと馬鹿にしていた自分が間違っていました。完全に面白い。なんと、主役の誠が妻夫木なのも開始30分過ぎまでまるで気づかなかった……。

昭和補正が利いている部分もあるかと思うが、「激しい恋」「あの素晴らしい愛をもう一度」「狼少年ケン」どれもがすばらしい。既に録画は10回くらいリピートしている。



お気に入りの一本に出会えました。

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2014年3月 5日 (水)

アカデミー賞

WOWOWでアカデミー賞を鑑賞。

ここ最近のアカデミー賞は前年亡くなった映画人の追悼コーナーが定番になっていて、自分はここで亡くなった事を初めて知ることも少なくない。


ハリーハウゼンが亡くなった事はそれなりにニュースになっていたのは知っていましたが……


スターウォーズのメイクアップアーティストであるスチュアート•フリーボンも逝ってしまっていたとは知りませんでした。この世代のクリエイターが亡くなっていくのは一つの時代が終わりつつある事を示していてなんだか悲しいです。

その他の雑感。
ハリソン•フォードやロバート•デニーロが驚くほど年を取っていたこと。ゴールディ•ホーン、サリー•フィールドを久しぶりに見たこと。テキチェンのホラー女優ジェシカ•ビールがオスカープレゼンターにまで格が上がっていたこと。やはりグラビティは最多部門受賞だが主要部門は外す、特撮系映画の系譜を辿ったことなどなど……

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2014年2月 1日 (土)

RUSH 鑑賞

RUSH ☆☆☆☆★

ニキラウダとジェームズハントを中心に1976年F1シーズンを部隊にライバル同士の厚いドラマを実話を中心に描かれる映画。

F1の映画という点だけでも珍しいのに、主役がニキラウダということでなんとも地味になるのではと不安ではあったが、なかなかどうしてしっかりとしたドラマで魅せてくれます。カーレースの描写をうまく見せられた映画はあまり無かったように記憶しているが、このへんも迫力ある映像に仕上げてくれます。

それほど大げさに脚色していないと思われるのにも関わらず、ここまでドラマが面白いのは、当時のF1自体が非常にドラマチックであったのだと思い知らされます。

鑑賞データ:TOHOシネマズ日劇P-14,P-15で鑑賞(好位置)
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2013年12月17日 (火)

ゼロ•グラビティ

ゼロ•グラビティ ☆☆☆☆☆

川崎109シネマのIMAX 3Dで鑑賞。文句なく満点。

これぞ映画、これぞ3D、これぞIMAX。それ以外の環境では見る意味は無いとさえ思う。ダイナミックな長まわし。主観と客観が流動的に入れ替わるカメラワーク。宇宙ゴミが近ずく時の不気味な音楽。圧倒的な奥行きの3D効果。そしてサンドラブロックの演技。全てが素晴らしい。

クライマックス。一面に広がる地球の地表をバックに大気圏突入で燃えるステーションの残骸パーツの疾走シーンでは「ザッツ映画!」と感極まってしまった。

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2013年4月 5日 (金)

ダークナイト ライジング

ダークナイト ライジング  ☆☆☆☆★

発売日にとっくにBlu-ray購入していながらも全く放置していた映画を鑑賞。ご存知のようにノーラン版バットマンの完結編。

面白い。世間では前作の評価が神がかり的に高いのだが、自分はこちらの方が面白かった。三作を通して一貫したテーマがあり、また三作を通して起承転結があり、そして何より三作全てに重厚感がある。はるか昔は「続編にいい物なし」と言われていたが、ゴッドファーザー、スターウォーズ、エイリアンあたりからその常識が崩れ出した。しかしそれら名作達でもトリロジーの壁は厚かった。かくいうバートン版先代バットマンも、リターンズまでは良かったが……という具合。しかし今回ノーランバットマンはその壁を超えたのではないかと。

勿論前作の切なくも渋いラストがヒーロー物としてこれ以上無いくらい斬新かつハマっていたことが名作垂らしめていたのは認めざるを得ないところ。しかし、あのラストを引き継ぐ最高に難易度の高い完結編として、これ以上にないフィナーレを用意してくれた今作は更に奇跡的ではないでしょうか。

個人的にはラストのカフェでアルフレッドの視線の先のカットは見せなくても充分だとは思ったが、前作の切ない感情から、ここまで癒しの方向に振ってくれたのは大変満足である。

とにかくオープニングのど派手空中戦から見所の連続なので見てない人は是非。

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アルゴ

アルゴ ☆☆★
アカデミー賞をとったのでBlu-rayにて鑑賞。

昨年のヒューゴやアーティストといい、最近は映画業界(内輪)ネタが好まれているような気がする。イランのアメリカ大使館の人質事件をCIA捜査官が映画制作関係者を装って人質を助けようとする話。実話ベースなのである程度の重さを保ちつつ、エンタメテイストも忘れてないのは好感が持てるところだが、これがアカデミー賞かと言われると少し疑問。人質、実話で更にアカデミーとくるとどうしてもミュンヘンクラスの重厚さを期待してしまう。

ネット時代の今、wikiで調べてしまえば直ぐに真実の記事が探せてしまうため、映画でハラハラしたシーンが大抵は映画独自の脚色部分だとわかってしまい、それも興醒めを誘っている。事実の重みが映画に箔を付けているのにその事実が事実でないと逆にテンションが下がってしまうという……

ただ最終的には死者も出なければ派手な銃撃戦も無い地味な物語なので、それを2時間全く飽きさせずに見せ切ってしまうのには拍手を送りたい。ネットの批評では賛否両論ある最後の空港のシーンも映画としてみればあれはあれでアリなのではないか。

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2013年1月26日 (土)

遊星からの物体Xファーストコンタクト

遊星からの物体Xファーストコンタクト  ☆☆☆

1982年のジョンカーペンターの同名作は衝撃的な作品だった。CGが今ほど一般的では無い時代に特殊メイクというアナログな手法で、ユニーク且つグロテスクな個性的なクリーチャーを創造していた。その後のモンスター映画全てに影響を与えたと言っても良い。この作品はカーペンター版の前日譚ではあり、同時にリメイクでもある。元々カーペンター版も白黒映画のリメイクだったので三度目の映画化とも言える。

当然クリーチャーはCGになっており画面への馴染ませかたや動きのリアルさは良くなってはいるが、イマジネーションの掻き立てられ方はやっぱり前作に軍配が上がる。名作の続編たる重圧をやはり乗り越えられなかったが、真面目な作りのホラーであることと前作へのリスペクトは感じられるので充分面白かった。

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2013年1月14日 (月)

96時間リベンジ

96時間リベンジ ☆☆

パリ行きの飛行機のなかで鑑賞。

前作は「誘拐時の緊張感」「犯人を突き止める迄の過程の緻密さ」「復讐のカタルシス」の3段階の展開が気持ちよかった。特に2段階目までに丁寧に積み上げたテンションを最終段階で想像以上の破天荒さでぶち壊すのが気持ちイイ。「えっ?この映画、こんなだったっけ?」的な気持ち良い裏切りが。

今作も基本的には同じ三段階構成。特に2段階目、娘を遠隔操作で指導し、両親の拉致場所を突き止めさせる下りは、うーむと唸らせる出色の出来で、このシリーズならではの醍醐味を充分に味合わせてくれる。しかし三段階目が辛かった。前作は、そんな展開が待っているとは想像が付いていなかったからこその意外性でありカタルシスであった。今作も充分に突き抜けてくれるのだが、予想の範囲内で驚きは少ない。シリーズとしての意外感と、予定調和との間で、見る方も作る方もジレンマが生じている。ファンが期待する展開には充分に答えているのだが、それ以上の驚きには到達していないというもどかしさ。

最終決戦に挑む前に主人公が復讐の連鎖を断ち切る覚悟を話すのだが、そこの決着の仕方に、今作ならではの「なるほど」感を期待したが、個人的にはそこにカタルシスを得られるほどの解答は見られなかった。そこでもう一回「そう来たか!」を用意してくれれば前作越えを果たせたのではないかと。

終盤に関しては結局どっちがリベンジしているのか解らなくなって来ているのはご愛嬌と言ったところか……

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踊る大捜査線Final

踊る大捜査線 FINAL ☆☆☆

パリ行きの飛行機のなかで鑑賞。前作の3がいまいちだったので思ったよりも楽しめました。3の時も感じていたが、小栗旬が出てくるシーンは踊る特有のスピード感やユーモアがスポイルされて、らしく無くなってしまっているように思える。FINALという名に相応しいほど、各キャラ個別の大団円があった訳でも無いのでその辺は物足りないところ。

このシリーズは従来の刑事物に無い、時流を先取りした犯人像が特徴だった。例えば今世間を騒がせている成りすまし冤罪犯などは、パート2の犯人像を先取りしていたとも言える。その点では今作の犯人は新鮮味がなく、動悸や設定に寧ろ昭和な香りがしたのが残念なところ。

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